2015年2月18日水曜日

表紙の写真について。



今回更新した表紙の写真は福岡県の今宿、海そば山裾の光景で、明治大正を生きた婦人解放運動家、伊藤野枝の生まれた土地を見たいと旅をした奥さんについて行った際に撮ったものです。付近には元寇時の防塁があり、金印が出土した志賀島もあります。そもそも今宿のあたりはいわゆる魏志東夷伝倭人条で言及されている土地にもあたる上、平原など実に興味深い遺跡なども近くにあったりで、古代以来歴史的に激アツの地域です。海沿いを東に行けば近代の象徴ともいえる八幡製鉄所があるわけですが、こちらの操業開始が1901年。1895年の生まれの伊藤野枝は上京後も出産の度に帰郷した(やはり出来たての鉄路で!)といいますから、福岡に暮らした頃のみならず、その短い生涯を通じて、製鉄所の威容を何度も目にしたのではないでしょうか。巨大な鋼鉄の建造物群と、そのようなものをどんどん迎え入れていく世の中が彼女の目にどう映ったのか。計り知れないものがあります。