2018年5月15日火曜日

アキ・カウリスマキ『希望のかなた』(2017)




ヘルシンキに流れ着いたシリア難民の青年を中心に群像を描いた物語です。映画はカウリスマキ作品らしく、全編にユーモアを織り交ぜながら、ロベール・ブレッソンさながらの端的な画面の繋がりで作られています。過酷さをどうドラマチックに描くのか、というのでなく、過酷さが際立つ現実をどのようにドラマに、映画にするのか。そう問い、自ら応えるような映画を、カウリスマキはここのところずっと作り続けているように思います。J・バトラーやJ・デリダが言うところの「行為遂行的」的な感じ。『過去のない男』(2002)を見て以来、カウリスマキの映画を見るのが、とても重要な行事になっています。

映画には犬が印象的に登場しております。最近、犬が出てきて印象的だった映画にゴダールの『アデュー・オ・ランガージュ』(2014)があります。あの映画もまた凄かったですが、「犬の画面への到来」を、ゴダールとカウリスマキは同じように(構図は違います)撮っているぞ、と興奮しました。そして犬といえば、もうじきウェス・アンダーソンの新作『Isle of Dogs (犬ヶ島)』が公開となります。今から楽しみでなりません。