だいぶ経ってますが前回の続きです。マン・レイ展の次に汗だくになりながら訪ねたのは、麻布のエモン・フォトギャラリーにて開催の尾仲浩二写真展『馬とサボテン』でした。
内容はメキシコを旅した中で写した写真の数々で、もうとっても素敵。
光景と写真家の、近くもなければ遠くもない絶妙な距離感というか、尾仲浩二さん独特の物凄く説得力のある画面は、見ていてとても気持ち良かったです。変にメキシコらしさを出そうとするわけでもなく、かといって、エキゾティシズムを頑なに拒むようなこともしないその姿勢は、旅人の心得としてはまさに一つの理想ではないでしょうか。このへんは、日本各地を撮った写真で、とうの昔にハッキリしていた事ではあります。
写真展の後、『GRASSHOPPER』と『DRAGONFLY』の二冊の写真集をあらためて見直しました。今回のメキシコは、以前からの延長線上にある、いわば「股旅物」として拝見してたんですが、久しぶりに本を見てみると、その時々で案外画面に違いがあるように思いました。特にいわゆるフレーミングに関しては地味ながら随分と変化してるような気が。本人がどう思ってるは分かりませんけども、この見て取った違いについては、もっと写真を良く見て、じっくり考えていこうと思います。
もちろん国内を旅しての写真で充分ちゃあ充分と分かってはいても、今回のメキシコや、以前写真雑誌に載ってるのを見たマニラ、In-betweenのシリーズで撮られたラトヴィアとスペインの写真など、外国の光景をまとめて見た時、いったいどんな世界が現れるのか、どうしてもこう、まだ見ぬ一冊の写真集ないしは写真展を夢想してしまいます。