2010年9月24日金曜日

サンバーとサンバール。


とある本屋で、創元社のシリーズ「知の再発見双書」がフェアで大きく展開されてまして、その中に『パレスチナ』というタイトルの本があり、少し読んでみたら滅法面白いというかタメになる内容だったので、すぐさま確認するとエリアス・サンバーという人の著作でした。はて、ゴダールの『アワーミュージック』(大好きです。一時、このDVDでメシが食えました。)が、そういえばエリアス・サンバールなる人物への献辞から始まっていたなと思って中身をあらためて見直すと、確かに、今度のJLGの新作『フィルム ソシアリズム』のトレーラー映像でも見る事のできる写真がこの本にも複数載っており、どうやら同一人物らしいと判断。本はその後すぐに購入しました。

内容はパレスチナに関する概説書といった体に留まらず、印象的な文章に加え、マグナムの古参ブルーノ・バルベイによるパレスチナの写真を見る事ができたり、資料として「親愛なるロスチャイルド卿」という言葉から始まるバルフォア宣言の文言が載っていたり、何かと充実した作りになっております。実に様々な図版がこの本では用いられているのですが、この意図されたパレスチナのイメージの一様でなさは、土地をその「歴史の外で固定」するという、歴史的に繰り返されて来た行為を、みずからでは断固避け語ろうとする著者の意思と、勝手ながら、感じます。